子どもにとって、永遠の課題かもしれないサンタクロースの存在。もちろん大人になれば「知ってしまう」もの。でも、この絵本は、そんなサンタクロースのことを、子どもたちにわかりやすく教えてくれる。
この絵本は、子どもたちがお父さんとお風呂に入る時、質問するところから始まる。「ねえサンタクロースってほんとにいるの?」お父さんは、さらりと「いるよ。」すると子どもたちの質問の嵐。「えんとつが、なくても入れるの?」「どうしてぼくのほしいものがわかるの?」「どうして夜中にくるの?」「どうしておとうさんやおかあさんには来ないの?」「なつのあいだはどうしているの?」「じゃ、どうしてとしをとってしまわないの?」「こないおうちもあるのはなぜ?」これだけ質問されれば、よっぽどの親だって困ってしまう。
だけどこの絵本の子どもたちへの答えは、優しく優しく、「本当のこと」を伝えている。
もし子どもたちにサンタクロースのことを聞かれたら、待ってましたとばかりにこの本を読んであげてほしい。きっと子どもたちは納得して、ますますサンタを好きになるはず。
だけどこの本は、読んであげる大人のわたしたちにこそ、語りかけてくれるものがある。わたしたちが、子どもに伝えているものっていったいなんだろう。教科書で出てくるような事実を出来るだけ早く子どもに分からせること?大人だから子どもからの質問に答えられる「ちゃんとした」答えをいつももってなきゃいけない?それも大事かもしれないけど、子どもたちはもっと大切なものを求めている。その答えが、いともさらりと子どもたちに語られて、この絵本はおしまいになる。子どもたちは、いずれ、あっさりとサンタクロースの事実を知るときが来るでしょう。でも、心が一番成長する時期に、サンタクロースを信じ続けた子どもは目に見えない世界を大切に出来るようになるのだろうな。 (むっちパパ)